バイヤーイネーブルメント実践ガイド 〜顧客の購買プロセスに寄り添う次世代営業手法〜

  • 公開日:2024年6月21日(金)

従来の営業は自社の製品・サービスの売り込みに重点が置かれてきました。しかし昨今、営業を取り巻く環境は大きく変化しています。デジタルシフトの加速により、営業活動のリモート化が進む一方で、営業個人のスキルに依存しない組織的な営業力強化が求められるようになりました。

こうした中、注目を集めているのが「バイヤーイネーブルメント」という考え方です。バイヤーイネーブルメントとは、営業担当者が自社の製品・サービスを売り込むのではなく、顧客の購買プロセスに寄り添い、顧客が購買の意思決定を円滑に進められるよう支援していくアプローチを指します。

従来、営業のプロセスは「営業の論理」で設計されてきました。しかし実際には、購買の意思決定は顧客側の「バイヤーの論理」で進んでいきます。例えば、営業が一生懸命提案書を作成して提出したものの、その後、顧客の検討が一向に進まない、といったケースは少なくありません。これは、営業側の視点と顧客側の視点のズレが生じている典型例と言えます。

バイヤーイネーブルメントでは、顧客の購買プロセスを深く理解することから始めます。そして、顧客の内部で意思決定を進めるために必要な情報や説明ロジックを、適切なタイミングで提供していきます。いわば「営業が顧客の内部に入り込んで購買を促進する」イメージと言えるでしょう。

バイヤーイネーブルメントを実践するための具体的なステップは以下の通りです。

【ステップ1:顧客の購買プロセスを理解する】

まずは顧客がどのような購買プロセスをたどるのか、部門ごとの関心事や、意思決定のポイントを把握しましょう。また案件の関係者がどのような立場の人で、誰が最終的な意思決定権限を持つのかを理解することも重要です。

【ステップ2:顧客の購買プロセスに合わせて情報を提供する】

把握した購買プロセスに合わせて、顧客が意思決定を進めるために必要な情報を提供します。

・課題認識フェーズ:顧客の抱える課題やニーズを整理するための情報
・解決策検討フェーズ:自社製品・サービスの特長や導入効果、事例などの情報
・評価・選定フェーズ:費用対効果や競合比較、導入事例の詳細などの情報
・意思決定フェーズ:予算確保の根拠や、導入スケジュール、体制などの情報
・導入フェーズ:スムーズな運用開始のためのサポート体制や初期設定などの情報
・運用フェーズ:活用促進のためのトレーニングやサポート、効果測定などの情報

【ステップ3:顧客の意思決定プロセスを支援する】

情報提供と並行して、顧客内の意思決定プロセスを支援します。キーマンへのアプローチ、社内稟議資料の作成サポート、決裁者への働きかけなど、顧客の組織的な意思決定を後押しするアクションが求められます。

【ステップ4:継続的な関係構築とサクセスの実現】

受注で完結するのではなく、導入後の活用状況を定期的にフォローし、顧客のサクセスを実現することが重要です。単なる営業担当ではなく、顧客のパートナーとして信頼関係を築いていくことが、長期的な取引に繋がります。

このように、バイヤーイネーブルメントでは、従来の「営業の論理」による売り込み型のアプローチから、顧客視点に立った購買プロセス全体のサポートへとシフトしていきます。製品・サービスの機能訴求よりも、顧客の抱える課題にフォーカスし、解決に向けたロジックを一緒に構築していくスタンスが求められるのです。

営業のリモート化やデジタルシフトが加速する中、バイヤーイネーブルメントの考え方は今後ますます重要性を増していくでしょう。顧客起点に立ち、購買プロセスに寄り添った支援を通じて、強固な信頼関係を構築する。それこそがこれからの時代に求められる営業パーソンの姿なのかもしれません。

本記事で取り上げたバイヤーイネーブルメントについて、より詳しく学びたい方はぜひ下記の資料をダウンロードしてみてください。バイヤーイネーブルメントの考え方や実践ステップについて、図解入りでわかりやすく解説しています。

『顧客起点の営業を実現する!バイヤーイネーブルメント実践ガイドブック』

https://www.openpage.jp/library/wp015-buyer-enablement

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