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【知りたい!】カスタマーサクセス人材の採用ってどうすればいい?

  • 公開日:2022年9月28日(水)

 

 

本稿では、「カスタマーサクセス人材の採用」について解説します。
今回も、カスタマーサクセスの副業や転職のサービスを取り扱っている株式会社KOMMONSの白塚様と、Openpage代表・藤島の対談形式でお届けします。
(以下敬称略)

カスタマーサクセスで「採用すべき人材」とは?

カスタマーサクセスの「人材要件」はフェーズごとで考える

藤島:
カスタマーサクセスで採用すべき「人材要件」について教えてください。

白塚:
カスタマーサクセスの「事業フェーズ」にもよるかなと思っています。

事業立ち上げ期は採算を度外視してでも、「オンボーディングをしてお客様に使ってもらう」ことができるセールス寄りの方々が活躍しやすいでしょう。
次の拡大期のフェーズだと、うまく業務標準化できる企画職のような方が向いてるのかなと思っています。
最後が成熟期。多くの企業さんにカスタマーサクセスとして情報を届けていくといった、「既存顧客向けのマーケティング」が重要になってくると考えています。

藤島:
私も事業規模や成長フェーズによって、「求められるカスタマーサクセスの人材要件」は全く違ってくると思ってます。
最初の立ち上げ期は、あまり採算とか考えないのですが、拡大期になるにつれて理想的には「MRRやARRの10%ぐらい」と言われています。
拡大期では、カスタマーサクセスの仕組みの設計やカスタマーマーケティングに取り組む必要があり、会社が成熟していけばいくほど、どんどん会社の取り組みが効率化していく。

それに伴って、必要な人材スキルや要件が変わってくる、という印象でしょうか。

カスタマーサクセスを採用する際の年収レンジ

白塚:
採用のトレンドとしては、カスタマーサクセス職は直近3年ぐらいで急激に話題になってきているので、「カスタマーサクセス経験者の市場価値」が上がっています。
我々でも年収800〜1000万のレンジで責任者クラスを紹介するケースが出てきています。

そこになかなか予算を割ききれない企業さんは多いかと思っているので、業務委託や副業の方を活用しつつ、未経験者の方を社内で育てていく。
そんな形が今後のトレンドになるのではないでしょうか。

藤島:
年収800〜1000万の方は、どのような会社が採用しているのでしょうか。

白塚:
「カスタマーサクセスの拡大期以降、ある程度型ができ始めている」フェーズの企業、つまり、シリーズA以降〜シリーズB・Cぐらいのイメージです。
カスタマーサクセスの部分にある程度お金をかけるためには、「カスタマーサクセスに力を入れればちゃんとリターンを得られる」ということが見えていないとなかなか難しいと思います。

藤島:
私達Openpageでも、SIerの企業様からお問合せをいただくケースも増えていますが、
SIの領域とかでも年収800万〜といった採用はあるのでしょうか。

白塚:
基本的にはSaaSがメインどころだとは思いますが、別領域で同じような年収帯で転職されてるケースは多くなってきているようです。

CS人材の採用には仕組み化や教育体制の整備が不可欠

仕組み化の必要性

藤島:
未経験採用については私もイメージが湧いています。
私の前職のビズリーチは人材系の会社ですが、ビズリーチは結構「未経験者を採用する文化」なのです。
人材業界とかの経験は構わず、優秀な人は採用する。その上で、カスタマーサクセスにアサインする、といったケースが結構あって。

キャビンアテンダント等、全く違う業界からも採用して、そういった方もちゃんと「ビズリーチのカスタマーサクセス」のやり方を教育することで、活躍されるケースも多いんですよね。
こういった採用の仕方は、各企業さんでも取り入れられるのではと思います。

白塚:
仕組み化や教育に早めに取り組むことは結構大事だと思っています。
カスタマーサクセスは事業がうまくいけばいくほど、お客様の社数も増えていくので、
仕組み化がしきれずに採用要件だけが上がってしまうと、「ずっと採用計画にビハインドし続ける」といった形になりがちです。

早め早めに手を打っていく、ということが重要でしょう。

藤島:
採用した従業員のオンボーディングの仕組み、つまり「いち早くカスタマーサクセスとして活躍できるようにどう社内で教育していくか」という部分の仕組み化が必要ですね。

白塚:
最近では、カスタマーサクセスのイネーブルメントみたいなところも、話を聞くようになってきたなというふうに思ってまして。
そこは今藤島さんがおっしゃったような背景があるのではないかと思います。

藤島:
セールスだと書籍「THE MODEL」の著者である福田さんが、「ランプタイプ」と呼ばれる「セールスとして活躍するための期間」を計測し、それごとに目標設定をすべき、と説かれていました。

カスタマーサクセスでもランプタイム等の指標を見て、カスタマーサクセスのメンバー成熟度に応じた社数のアサインを行う、等は仕組みとしてできそうですよね。

未経験でも「エンタープライズCS」で活躍できる人材とは?

藤島:
僕がトレンドとして感じるのはいわゆる受託開発等をやられている大企業SIerもたくさんいらっしゃるとは思いますが、そういった企業から20・30代の若手の流出が起き始めている。
そういった人たちが、今SaaSの「エンタープライズCS」に流れてきてるんです。

カスタマーサクセス部門のマネージャークラス等、主要メンバーに最近SIer出身者が増えたという感覚はありますか?

白塚:
まさに僕らが「カスタマーサクセス未経験」の形でお話をいただくケースって、そういった方々が多いですね。

藤島:
SIの場合はプロジェクトマネジメント能力も非常に高く、大手企業の顧客に向けていかに自社システムを提案していくかを熟知している方々ですから、
そういった方々がカスタマーサクセスの領域に進出するに従って、「エンタープライズCSのレベル感」も高まっているような印象を受けます。

白塚:
SaaSの中でも基幹システムに近いような領域では、特にオンボーディングのフェーズに時間かかるので、「1度システムとして導入いただければ、出どころを抑えられる(解約されづらい)プロダクト」に関しては、エンタープライズCSとしての存在感も増してくると思います。

そういった部分に力を入れようとする企業が、SI出身者を採用している印象があります。

「バーティカルSaaSの教育コスト高い問題」にどう対処する?

藤島:
あと、トレンドとしては「ホリゾンタルSaaSよりもバーティカルSaaSの方が、採用に苦戦している」という印象があります。
やはりバーティカルSaaSでは、業界に特化しているので「その業界に根ざした知見やコミュニケーション方法」が必要になり、教育コストが高いんですよね。

その辺りの相談をされることもありますでしょうか。

白塚:
その辺りのご相談はよくいただきます。
お客様側の専門知識がある程度高いケースも多いので、「お客様になるような(企業出身者の)方々を採用したい」といった声も意外に多いですね。

この部分はなかなか僕らの方でまだサポートしきれてない、という側面もあります。
一方、社内でしっかり教育をすることで、知見がない方でも「お客様との付き合い方」を理解してもらい、CSとして活躍できる仕組み作りをしていきましょう、というご提案をすることもありますね。

仕組み作りが自社メンバーに与える好影響とは?

藤島:
弊社OpenpageでバーティカルSaaSの企業様をご支援させていただく時には、「バーティカルSaaSのプロダクトで、テックタッチをどう実現するか」といった話題になります。

お客様のリテラシーがそんなに高くない中で、どのようにカスタマーサクセスを進めるのか。
言葉遣いひとつとっても「お客様固有の言葉の使い方」等もあるので、そういった部分はある程度意識した形で設計して、といった仕組みやコミュニケーションの仕方をしっかり設計していく必要があるなと。

面白いなと思ったのは、そうした取り組みの中で、お客様向けコンテンツを提供するだけじゃなくて、コンテンツを作成するプロジェクトの中で、「社内の共通認識」や「共通言語」が描かれていくシーンを最近目にする機会が多い点です。

仕組みを作る過程での学習効果によって、まだカスタマーサクセスの経験がない人が入社しても、「カスタマーサクセスがすぐにできるような土台」になっていくのは感じています。

白塚:
確かに社内での共有値を作っていくことは非常に重要ですね。
でも、その辺りに力を入れられていない企業さんも多いのかなと。

各従業員さんのノウハウを集めて、提供品質を平準化していく取り組みも一種の「仕組み化」とも言えるのかなと思いました。

カスタマーサクセス人材の採用の実態

カスタマーサクセス人材の採用は難しくなっている?

藤島:
採用のトレンド的には、「カスタマーサクセスの採用が難しい」という企業さんも増えてきている印象があります。この点はどう思われますか?

白塚:
本当に採用には苦労されてる企業さんが多いですね。
これまでは「採用要件に合うような方々」の採用は、難易度が高いながらも何とか探そうとして見つかっていた、というフェーズだったと思います。

それが「そろそろちょっと難しそうかな」という感覚になってきた。

そこで先ほど申し上げたような、カスタマーサクセス未経験者だったり、「先に仕組みを作って採用要件を引き下げる」というところに、各社が取り組み始めていると思います。

ポテンシャル人材を採用する上で見るべきポイント

藤島:
それこそ20代の若い人等をポテンシャルとして採用していく必要も出てくるかと思いますが、採用の上ではどのようなスキルを見るべきだと思われますか?

白塚:
カスタマーサクセスは、お客様に対して「成功を提供する」という部分は共通ですが、
職種でいくとマーケティング〜セールス〜プロダクトとかなり多様かなと思っていますので、「お客様の気持ちになって考えられる」ことがやはり重要でしょうか。

藤島:
「考えられる能力」と「学習力」が非常に重要だと思いますね。

マーケティングでもセールスでも、SaaSのカスタマーサクセスをやる上で苦戦するポイントは、SaaSの「製品理解」と「顧客理解」だと思っています。
この2つがあって初めて、「お客様の成功」がイメージできて、そこに至る道のりを作っていくことができます。

経験者であっても、新しいプロダクトに携わる度に、これまでの経験をアンラーニングして、「新しい製品をどうカスタマーサクセスしていくか」を考えていく必要があるので、
やはり「学ぶ力」が重要です。

白塚:
既存顧客の方々から色々な情報を取得できて、かつ、正しく仮説立てて検証できる力も、求められるかなと思います。

藤島:
カスタマーサクセスには3つのタッチモデル(ハイタッチ・ロータッチ・テックタッチ)がありますよね。
これだけでも結構な情報量になると思っています。

「お客様にハイタッチでカスタマーサクセスをする上で何をやっていくのか」
「どのようにスケジュールを立てるか」
等もかなりの仮説検証が求められると思います。

テックタッチでも、
「どのチャネルで、どのような配信方法を、どのデジタルツールを使いながらやっていくか」等も、トライアルアンドエラーで進めていく必要があります。

こういった部分の「思考体力」は結構大事ですよね。

カスタマーサクセス人材の採用で「聞くべき質問」とは?

藤島:
ちなみにカスタマーサクセスの採用をするときに、これは聞くべき質問等はありますか?

白塚:
場合にもよるのですが「あなたにとってカスタマーサクセスってどういったものですか?」という質問をよく聞くようにしています。
カスタマーサクセスを「ひたすらお客様に尽くす」と捉えている方なのか、「ビジネスとの両立」というバランスを考えている方なのか、という風に分けられるのではないでしょうか。

藤島:
なるほど。
カスタマーサクセスを経営的な観点で見ると、「売上とコストのバランス」を考えるケースも多くあります。

そういった経験をしていない方は、「顧客貢献」とか「お客様のため」といった言葉が出やすい印象です。これ自体、お客様に対して真摯な姿勢は悪くないのですが・・・、

あとは、「営業職が嫌だからカスタマーサクセスに」といった話もたまにありますが、
私ははっきり「それは違います」と言うようにしています。
カスタマーサクセスも継続的な売上の担保や、外部的な貢献をかなり意識して、仕事をする必要があり、顧客仕事から逃げるアクションではない。

こういった質問をしたり、話している中で「自社が期待しているカスタマーサクセスの役割」に納得し、共感してくれそうな方を採用する、ということが大事そうですかね。

白塚:
はい。カスタマーサクセスの採用はまだまだこれから初めて行う、というケースも多いと思いますので、そういった点はぜひ気をつけていただきたいですね。

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