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【超ハイレベル】ヘルススコアはコツコツ集計している場合ではない!

  • 公開日:2022年12月23日(金)

 

 

前回に引き続き、NE株式会社マーケティング統括部の甲斐 愛佳(かい まなか)様をゲストにお招きして、Openpage代表・藤島との対談形式でお送りします。

2本目は、カスタマーサクセスに携わる皆さんにとっても難しいと言われる「ヘルススコア」の考え方について。ヘルススコアはどのように考えていくべきか、失敗談も交えながら解説します。
(以下、敬称略)

これまでの記事
【新時代】エンジニア考案のカスタマーサクセス成功法って?!

ヘルススコアはまず「現場の肌感」から始めよう

藤島:
ヘルススコアは結構皆さんが「難しい」とおっしゃいますが、
甲斐さんが所属されているNE株式会社さんではどういうところから始めましたか。

甲斐:
「現場の肌感」等をベースとしてヘルススコアを構築していくのがいいです。
実際にデータを出してカスタマーサクセスの肌感のものを裏付けていく、というような使い方が一番良いです。

現場の肌感の整合性が合っているかをしっかりデータで裏打ちしていく、
それをチューニングして、しっかり繰り返していくという始め方がいいでしょう。

藤島:
「肌感」というのはカスタマーサクセスの方々に聞きながら、
「こういうデータがあるといいんじゃない?」といったことを壁打ちするということですか。

甲斐:
例えばオンボーディングをするのにどこが一つの取っ掛かりになるかというと、
こういう機能がある、まずこの設定などいくつかあるので、そこから紐づくようなデータを取っていく、という感覚です。

藤島:
その業務について必要な指標などを洗い出し、
上手く壁打ちしながらXXというデータを取りましょう、という感じですね。

甲斐:
データから考えると結構失敗するので、
まずは現場の意見から組み立て始める、というところが大事だと言えます。

どのフェーズのヘルススコアから始めるべき?

藤島:
カスタマーサクセスにはオンボーディング、アダプション、エクスパンションなど色々なフェーズがありますが、最初はどのフェーズからデータとして揃えていきましたか。

甲斐:
弊社の場合は、まず「オンボーディング」の部分から揃えました。
入り口でかつログイン指標など結構分かりやすいものがいくつかあるので、そういったところが取っ掛かりになると言えます。

藤島:
NE株式会社はネクストエンジン事業を展開されていますが、
まず最初にネクストエンジンのツールにちゃんとログインしてるのかどうか、
設定してるかどうかなどの「最初の取っ掛かり」をちゃんとデータで見えるようにするということでしょうか。

甲斐:
そうですね。
機能の設定が終わったその段階で使えていないと、その先の後工程で分析などを深めていくのは難しいです。
「最初からちゃんと整ってるか」ということをしっかり見ていくことが重要だと言えます。

藤島:
データに限らずカスタマーサクセス全体も、まず最初のオンボーディングから作り始めます。データやヘルススコアなど他のものも、最初のオンボーディングのところが重要だと言えます。

いきなり複雑なデータをみても失敗する

藤島:
色々データ周りを扱われていて、ヘルススコアやカスタマーサクセスのデータ周りで失敗した経験はありますか。

甲斐:
失敗だらけです。
肌感ではなくデータから行くことを一番最初にやりました。
取れるデータを並べ、これらしいものをプロジェクトのメンバーと話し、それで回してもなかなか上手くいかなかったり、といったことがありました。

藤島:
「取ってみて微妙だったデータ」とは例えばどういうものですか。

甲斐:
利用率や機能の複雑なものなどをいきなり見ようとすると、
「それより前にお客さんは踏んでるステップがある」というところが全然分からないまま、
「まずこれをちゃんと使っているだろう」と盲点的に行ってしまったのは失敗かなと思います。

藤島:
結構複雑なデータをいきなり見ても現場で追えませんよね。
もうちょっとシンプルでプレーンなところから、ということですね。

甲斐:
数が多すぎても良くないですので、解像度があまり高くない、少なく大事なものに絞る。
2・3個、「本当に大事なところ」から見始めるのがいいと言えます。

データをCSの現場とチューニングしていくためには?

藤島:
「カスタマーサクセスの現場の方とのチューニング」とおっしゃってましたが、具体的にはどういった動き方ですか。

甲斐:
まずいくつかのデータから「この辺がよさそうだ」等を見て、このお客さんの状態が良い人と悪い人を分け、
本当に良いのか悪いのかなどをカスタマーサクセスから電話をして確認し答え合わせをしてもらい、その結果を基に精度を上げていきます。

藤島:
ハイタッチのカスタマーサクセスを行っていると、
CSメンバーから「他のプロジェクトなどの協力は面倒」「忙しくてそれどころではない」と言われることもあるとは思うのですが、そういった失敗はありますか。

甲斐:
ハイタッチのカスタマーサクセスが普段やっている業務の中で、
新しくスコアを作ったりアップデートをするとなると、チューニングのテストをしてもらう仕事が増えます。

「なぜやるメリットがあるのか」ということをちゃんとプロジェクト側が提示できていないと、「テストを回すこと」の重要度を分かってもらえません。
それゆえに、優先度を下げられてしまってなかなかスコアの改善が進まないという失敗もあります。

藤島:
なるほど。
指標を確かめるということは、この指標が合っているのかをお客さんにも確認しないといけません。
仮にずれていた場合、「ずれているものを確認する」のも気が引けますね。

ヘルススコアの「理想形」とは?

藤島:
ここまでは失敗談をお伺いしましたが、ヘルススコアとはどういうものが理想形だと考えますか。

甲斐:
教科書通りになってしまいますが、
GainsightやSansanさんが提供されている、
「DEARフレームワーク(D=Deployment A=Adoption E=Engagement R=ROI)」は網羅性があって、このフレームワークに沿ってちゃんと取れれば理想だと考えます。
<編集部註:DEARフレームワークについての記事はこちら

藤島:
確かにDEARフレームワークのような網羅的なフレームワークがあると、こういう指標を取れば良いというのが分かります。
Sansanのカスタマーサクセスストラテジスト・山田ひさのりさんは「DEARでどういうものを取っているのか」を全部出していただいていますよね。

甲斐:
山田さんが話している「100%の精度を求めない」という点は重要かなと。

「ヘルススコアでできる限界をちゃんと知って効果を最大化していく」というところが大事になります。
精度にこだわりすぎても良くないので、「選定をするためにデータを使う」等手段として使うことも一つの重要なポイントだと言えます。

藤島:
カスタマーサクセスのヘルススコアは解約しない、そこからクロスへル、アップセルができるなど、契約のアップやダウンを予測する数字ですが、完璧に予測するのは相当難しいですよね。
どんなに仲の良いカップルでも離婚しない確率は100%でないように、
製品の利用状況やメールの反応がとても良い等顧客とすごく良い関係の状態であっても、解約される時はされますね。

甲斐:
高い精度で予測できるヘルススコアがあるなら本当に欲しいです。

藤島:
あくまで参考値であり、露骨にヘルススコアの値が低い場合は何かあったりするので、
ヘルススコアは「ピンとくる」ためのアラートのような使い方になると言えます。

甲斐:
ヘルススコアが全てではないので、ヘルススコアでウォッチしながら、
「解約しそうな怪しい企業にはちゃんと電話をしましょう・ハイタッチをしましょう・フォローをしましょう」等がちゃんとアラートとして上がってくるような、
CTA(Call to Action:Webサイトの訪問者等を具体的な行動に誘導すること)的な仕組みがが重要だと言えます。

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