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カスタマーサクセスが企業組織で大きな影響力を持つための戦略的アクション

  • 公開日:2022年6月29日(水)

カスタマーサクセスチームがありながら、裏方部門のようにみなされ、資金面でも優先順位が低いままで社内での影響力を発揮できていない企業が多くあります。

カスタマーサクセスチームの成果を生かせず、顧客が解約したときにのみ批判の的にしているようでは、ビジネスの成長機会を逃してしまいます。

それでは、カスタマーサクセスが組織内で影響力を持つためにはどうすれば良いのでしょうか。

カスタマーサクセスチームの社内の位置づけ

カスタマーサクセスチームの社内的な位置を高めることは、難しい事ではありません。まずは社内のカスタマーサクセスチームに対する認識が変わるように、積極的な役割を果たす必要があります

現在、貴社のカスタマーサクセスチームはどのように思われているでしょうか。

解約があるとカスタマーサクセスチームのせいにされやすいにも関わらず、重要な戦略の計画や部門横断的な情報共有において、後回しにされていませんか?

その結果、カスタマーサクセスチームは予算や人員の確保に苦労しており、常に手狭な感覚を持っているかもしれません。

あるいは、既存顧客の売上が前年と比べて維持できているのか増加しているのかを示すNRR(Net Retention Rate:売上継続率もしくは売上維持率)や、GRR(Gross Revenue Retention Rate:総収入維持率)といったカスタマーサクセスにおける重要なKPIが社内で共有されていないのかもしれません。

カスタマーサクセスチームの社内での位置づけを高めるためには、このような事態を改善する必要があります。

カスタマーサクセスチームの社内評価を高める方法

ここでは、カスタマーサクセスチームチームに対する社内の評価をポジティブに変えるための手法を紹介します。

他の部門とのコミュニケーション

カスタマーサクセスチームが他部門との連携を取りにくい原因に、カスタマーサクセスはまだ新しい部門であるため、部内のリーダーが他の部門に比較して若いということ、また部門として若いために経営陣が権限を与えることに消極的になっている可能性があります。

このことから、カスタマーサクセスチームが他の部門との連携を強化するためには、幾つかの手段を採る必要があります。

まず、営業部門や製品企画部門、マーケティング部門、開発部門などと定期的なミーティングを行うことです。議題は簡単で構いません。進行中のプロジェクトやさまざまな課題を共有する場を持つのです。このようなミーティングでカスタマーサクセスが他部門と日常的な会話を行い、じっくりと関係性を深めて行きます。

次に、会社の戦略的計画を遂行するために、どのようにして目標を達成すれば良いのかについて他部門と議論する機会を設けます。このことで、カスタマーサクセスは全社的なもので、社内の誰もがカスタマーエクスペリエンスに貢献する役割を担っていることの自覚を促します。

そして、他の部門がそれぞれに追跡しているKPIを調べて、そのKPIを達成するためにカスタマーサクセスチームにどのような貢献ができるのかを示し、カスタマーサクセスチームの価値が認識される機会を作ります。

最後に、どの部門においても顧客に影響を与える決定を下す際には、カスタマーサクセスチームの協力が必要であることを率直に伝えます。

カスタマーサクセスのプレイブックを採用する

カスタマーサクセスチームが社内でポジティブな評価を得るために有効な手段は、カスタマーサクセスチームはプレイブックを持っているかのように業務に当たることです。プレイブックとは元々アメリカンフットボールの選手用にフォーメーション別の対抗策が書かれた作戦集です。選手たちはプレイブックに書かれた作戦を頭に入れているのです。

カスタマーサクセスチームも、顧客のステージごとの対応方法を頭に入れておきます。具体的には、オンボーディング・アダプション・エクステンションの工程に沿ったカスタマーサービスを設計するのです。

そして、それによる顧客への貢献について、カスタマーサクセスチームが責任感を持って事後検証を行うことです。契約後のカスタマージャーニーを鮮やかに支援するため、カスタマーサクセスがどのように上手く対処できるのかを設計し、顧客の期待に沿うことが出来れば、社内からの評価も高まります。

社内の課題を共有する

カスタマーサクセスチームが各部門から戦略的なパートナーだと認識される方法として、顧客からヒントを得た社内の課題を日常的に共有する必要があります。たとえば月に一度、自社の顧客に関する有益な情報を社内にメールやチャットなどで伝えて共有します。自社の顧客の業界属性の特徴についてや、顧客が自社の商品・サービスの価値に気付くまでの時間(TTV:Time to Value)をどのくらいにまで縮めることに成功できたのかなどについてです。

このような情報を共有することで、各部門が顧客に対する理解を深められると同時に、有益な情報や分析結果を提供するカスタマーサクセスチームに対する戦略的なパートナーとしての認識が深まります。

ネガティブな情報こそオープンにする

社内のカスタマーサクセスチームに対する見方を変えるためには、顧客の解約理由やリスクの高い顧客への介入などの活動についての月次報告書を作成することも役に立ちます。

また、四半期ごとのビジネスレビューを行い、カスタマーサクセスチームがどのような活動を行うべきか、あるいは維持したり停止したりすべきかを示すことで、カスタマーサクセスチームの戦略的な重要性を示すことも大切です。

顧客に関するネガティブな情報も含めてオープンであることが、カスタマーサクセスチームに対する見方を変えさせるために有効です。

カスタマーサクセスチームの価値を組織に示す方法

ここからは、カスタマーサクセスチームの価値が社内で認識されるために積極的に取り組むべき施策を紹介します。

データに基づくフィードバックを行う

カスタマーサクセスチームが憶測に基づいた無難なフィードバックを行っている場合があります。たとえば近年であれば、「今期の解約が増えているのは新型コロナウイルスの感染流行によるだろう」といった内容です。

このような報告をすることは、心情的には他の部門からも受け入れられやすいかもしれません。しかし、カスタマーサクセスチームは常により多くのデータから分析した結論を導き出さなければなりません。それは、オンボーディングの日数や、顧客が最初の価値を感じるまでの時間であるTTFV(Time to First Value)、解約の理由、拡張の理由、顧客からのフィードバック、機能リクエスト、顧客セグメンテーションなどのデータです。

解約からの学びを示す

カスタマーサクセスは解約に関して積極的に情報を提供する必要があります。他の部門から解約の理由を問われる前に、積極的に情報を共有すべきです。そのことで、カスタマーサクセスチームは顧客基盤に関する正確な情報源であることを社内で示すことができます。

もちろん、その際には客観的なデータとしての情報を共有します。たとえば既存顧客で維持された経常利益の割合を示すGRR(Gross Revenue Retention Rate)や、既存顧客の売上が前年比で維持できているかどうかを示すNRR(Net Retention Rate)、解約の理由、1ユーザ当たりの平均的売上を示すARPU(Average Revenue Per User)、オンボーディングの日数などです。

また、解約の情報を共有すると同時に改善策を提示することで、その解約から学んだことを示します。このことでカスタマーサクセスチームに対する負の感情を回避しやすくなり、解約の責任が社内全体の責任であるという共通の認識を醸成することができます。

まとめ

カスタマーサクセスチームは顧客とビジネスとの関係性を俯瞰できる最前線にいます。このようなチームが社内で尊重されていれば、その企業は顧客を大切にしていることを示します。逆に、カスタマーサクセスチームを軽視している企業があれば、それは顧客に関する必要な情報なしに意思決定しているも同然となります。

このことを踏まえて、カスタマーサクセスチーム自らも、組織における影響力を持つべく努力する必要があります。

Topics: カスタマーサクセス

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