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【知りたい】カスタマーサポート部門が売上に貢献する方法とは?

  • 公開日:2023年1月31日(火)

 

 

今回も、ゲストに株式会社リックテレコム・月刊「コールセンタージャパン」編集部の編集長・矢島 竜児 様をお迎えし、
Openpage代表・藤島との対談形式でお送りします。

今回は「カスタマーサポート部門が売上に貢献する方法とは」というテーマで解説します。
(以下、敬称略)

カスタマーサポートも売上に貢献できる!

藤島:
前回、カスタマーサポートもカスタマーサクセスも、売上や収益に貢献するという考え方を大事にするべきだという話をしておりましたが、
そこに関してこれまでのカスタマーサポートだとなかなかそこに目が向かないのでしょうか。

矢島:
そうですね、難しいです。
どうしても「受け身な組織」ということもあり、
「一日あたり何本ぐらい処理したのか」「どのくらいの応答率だったのか」といったところが評価指標になっています。

そこを何とかしていかないと、なかなかカスタマーサポートの位置付け(ステータス)の向上にはつながらないでしょう。
社内でも対人材市場という意味においても、カスタマーサポートのステータスが上がらないと優秀な人間は集まってこないので、非常に大きな課題であると言えます。

藤島:
「受け身」的なKPIになってしまうのは、
やはりもともとの成り立ちとして問い合わせやインバウンドに対応することを前提に作っているからでしょうか。

矢島:
そうですね。
そもそも、カスタマーサポートは全体的に「受け身の組織」なんですよね。

企業が営業やマーケティングやプロモーションなどの活動をした結果発生する、
「お客さんからのアクションの受け皿」的な位置付けだと思うのですが、
この時点でもう「受け身」なのです。そのために、ものすごく受け身なKPIになってしまう。

一部の会社では、カスタマーサポート部門もアップセル率やクロスセル率などで貢献度を示そうとされていますが、この動きはなかなか拡大しません。

またコールセンター独自のKPIとして「お客さんにありがとうと言ってもらえた率や数」などを示す「ありがとう率」というものもありますが・・・
突き詰めて考えていくと「だから何だ?」となってしまうのです。

藤島:
これはカスタマーサクセスも似たようなところが少しあります。
カスタマーサクセスではチャーンレート(解約率)を追うことが多いですが、
それが売上に貢献しているのかというと、
チャーンはあくまで「売上毀損を止めている」のであって、「売上を向上させる活動」とはまた少し違うのではないでしょうか。

「売上を向上させる」という話だと、売上継続率やNRR(Net Revenue Retention)・もしくはNDR(Net Dollar Retention)といった話が出てきますが、
その指標が日本でも言われだしたのは本当に最近です。

そもそも、アメリカでもまだまだ新しい考え方なので、
実際は「カスタマーサクセスがまだまだコストセンターになっている」会社の方が多いのが実態です。

ベンチャーキャピタルや投資家の方と話をすると、
事業計画上「カスタマーサクセスの人件費」がコストとして目立つようです。

カスタマーサクセスもある意味コストセンターになってしまっていて、
どれだけプラスの売上に繋がっているのか、貢献度合いはどの程度なのか、を可視化できていない会社さんも多いことが課題です。

カスタマーサクセスに取り組む企業は今後、この売上貢献の可視化をさらに強化していくと考えます。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いとは?

矢島:
その意味では、カスタマーサクセスもサポートと同じ見方をされてしまっていますね。

藤島:
両部門の見られ方は近いと思います。
ただ、カスタマーサクセスの方がやはり営業的なニュアンスが強いので、
「カスタマーサクセスで売上貢献する」となると、結局「営業をしよう」という話になります。

カスタマーサクセスでは「カスタマーサクセスクオリファイリード(CSQL)」という考え方があります。
カスタマーサクセスとしてオンボーディングやアダプションのフェーズである程度上手くいっている状態ができると、次は「エクスパンション」として契約を拡大をしていかないといけません。

契約拡大を誰が担うべきなのか。
カスタマーサクセスが担うのであれば営業活動をする必要があります。
具体的には、サービスに付随するオプションを販売するなどの方法を取ります。

矢島:
そういった活動をやってこそのサクセスであり、
それをやらなかったらサポートと全く一緒になりますね。

既存顧客からの売上を向上するためには?

藤島:
そうですね。
最近は私もよくカスタマーサクセスのコンサルティングをやっていますが、
「カスタマーサクセスは売上に貢献しないといけない」ということをかなり強めなメッセージとして発信しています。

売上に貢献できるカスタマーサクセス部門を作る上では、
「既存顧客に時間を投じて売上があげられるモデル」になっているかどうかも重要になります。

意外とこのポイントができておらず、どんなに頑張っていても売上はずっと横ばいで、
既存顧客に投資していてもコストになってしまう、という会社さんも多いです。

既存顧客の体験が良くなれば良くなるほど売上が上がっていきますので、
カスタマーサクセスにちゃんと投資していく上では、顧客体験を向上させるためのサービスメニューやシステムなどを自分たちが持っているという状態を作り出すこと。

そうすることで初めて、「プロフィットセンター」としてのカスタマーサクセス、
その先の顧客体験の向上にも繋がってくるのだと感じています。

矢島:
難しいポイントですね。
例えば月3000円のライセンス料で契約したとして、ずっと契約を維持をしたら月3000円のまま。

エクスパンションということは、ライセンス料に上乗せしていくための機能を開発しないといけない、といういたちごっこのような形になりますね。

今後、カスタマーサポート・サクセスに関わる業界はどうなる!?

藤島:
そうですね。
SaaS企業のプロダクトでカスタマーサクセスを置く企業が多い中、
現在各社が取り組んでいるのは「機能開発を加速させてプロダクトのバリューを上げていくこと」です。

もしくは、上場企業であればM&Aも加速させており、
M&Aで製品のポートフォリオをドンドン増やしていく、新規事業で増やしていくということも行っています。

アメリカのSaaS業界では、バーティカルSaaSでは特定業界で全工程をカバーしている、
ホリゾンタルSaaSだったら業界横断的に各職種向けのプロダクトを持っている、といったイメージです。

矢島:
こうした動きが上手くいくのかどうかは注目しています。
SaaSやクラウドが出てくる以前のオンプレミスの時代でも、「一社で全部囲い込もうとしたベンダー」はだいたい失敗しています。

日本においては、システムを発注する上で複数ベンダー(マルチベンダー)に依頼する企業が主流になっていますが、
SaaSやクラウドの世界が今後どうなっていくのか、オンプレミス時代と同じ轍を踏むのか、それとも巨大企業の寡占市場になっていくのか、といった動向は注目しています。

そして、カスタマーサクセス部門がどういった形で同期をしていくのかについても、個人的には非常に注目しているところです。

藤島:
直近、「SaaSの中でもUIを持たないコンテンツ管理機能に特化したCMS(ヘッドレスCMS)などを、APIベースで拡大していこう」といった考え方のプロダクトも出てきているのを見ます。
どういう形で大きくしていくのか、成功事例が今後出てくると思いますので非常に注目しています。

こうした動きの中で生まれたマルチプロダクトや、契約のプラン設計の戦略の精緻化を経て、
カスタマーサポートもカスタマーサクセスも、どのように売上を高めていくのか、
そのための顧客コミュニケーションをどう設計していくのか、という点も重要です。

サポートもサクセスも、結局は「コミュニケーション」です。
どんな価格で、どんな製品を提供するのかは経営レベルの話になってくるので、
現場レベルだと「どう売上貢献を可視化するか?」という課題が出てくる理由の1つなのではないでしょうか。

矢島:
上手く現場にKPIを落とし込むようなプロセス・作業は、「カスタマーエクスペリエンス本部」的な組織がやる仕事になる気がします。

「KGI(Key Goal Indicator)」と呼ばれているものを設定できた会社は大体伸びている気がします。
我々「コールセンタージャパン」もこういった情報を上手く発信し、皆さんのビジネスに役に立つような存在になれたらなと考えています。

サポートにとっても「対応したお客さんの満足度」や「対応した数」だけではなく、
「対応したお客さんが、対応後にどんな行動をしたのか」などを可視化して数値化できるような指標などを上手く提案できないかと考えていますが、なかなか難しいですね。

藤島:
ビジネスは課題解決で売上が立つので、
サポート部門でもちゃんと「課題解決と売上が綺麗に紐づいている状態」が作れるといいですよね。

矢島:
ロイヤルティを上げることやNPS(Net Promotor Score)を高める部分は多分できます。

しかしながら、そのお客様が本当にその後継続してくれたのか・エクスパンションのような形でアドオンがあったのか。
そういった部分を「成果」として可視化できるようなプロセスが上手く提案出来れば、
カスタマーサポートも一皮剥け、「カスタマーサクセスの人たちに対する気負い」も高くなると言えます。

「超重要」なエクスパンション戦略

藤島:
カスタマーサクセス部門を持っていらっしゃる会社で、エクスパンション戦略までちゃんと設計しきれている会社はあまりない印象です。
この1〜2年くらいでエクスパンション周りの戦略や、それに基づく現場レベルの行動が出来てくるだろうと考えています。

先日会社にヒアリングをしましたが、その運用は非常に大変そうでした。
エクスパンションまで出来るということは、
その機能がどんどん多機能になっていき製品も色々複数あり、プランも色々ある状態です。

つまり、「カスタマーサクセス側で覚えなくてはいけない知識量」が膨大になりすぎて、
もはや「ITコンサルティング」のようになっていたのです。

カスタマーサクセスとして多岐にわたる業務をカバーしなければならず、
それが現場の負担になっており、採用や教育マネジメントにも大きな課題になっているというお話でした。

矢島:
同じ事例はBtoCでも当てはまりますね。特に携帯電話ビジネスは典型です。
契約更新してもらわないといけないビジネスなので、既存の契約プランに対してアップグレードするのかダウングレードするのか。
顧客接点における「コンサルティング力」が問われていて、
これを店舗だけでやりきるのは大変なので、コールセンター・ウェブサイトなどで上手く機能を切り分けようとしています。

これらの動きはサポート部門が主導になっていることが多いので、
コールセンタージャパンでは、こういった取り組みをサポート側のメディアから発信しています。

カスタマーサクセスに関わる方々が情報を仕入れていただき、
「うまく応用する事例を参考にしたい」というお声も非常にたくさんいただいています。

そのためにコールセンタージャパンでは「事例中心主義」を掲げていますが、
そのまま各社に応用できる事例などおそらくほとんどなく・・・ビジネスとはそんな簡単なものではないと思うので、この点はご理解いただきたいです。

藤島:
しかし事例が効くというのは事実としてはあります。

矢島:
特にサクセスの人たちにとっては、そもそもの事例が少ないのでそうでしょうね。

藤島:
カスタマーサクセスの売上貢献という観点だと、
既存のお客さんと取引拡大になるような好事例をどんどん作っていき、
その事例をお客様とのコミュニケーションにおいて「こういう事例があったので御社もこうしていきましょう」と紹介していかなければなりません。

矢島:
上手くメディアを利用するような視点を、皆さんには持っていただきたいです。

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