2025年も四半期が過ぎようとする頃、ある営業マネージャーからこんな相談を受けた。「SFAに情報を入力させているが、誰も見ない。入力項目が多すぎて営業担当も疲弊している。結局、Excelに戻ってしまう」
この話を聞いて、私は即座に思った。それは当然だ、と。
多くの企業が陥っている罠がある。SFAを「営業活動のすべてを記録する倉庫」にしようとする罠だ。商談の詳細、顧客の反応、提案内容、競合情報、失注理由。あらゆる情報を詰め込もうとする。その結果、誰も入力しなくなり、誰も見なくなり、形骸化する。
我々openpageでは、営業プロセスの可視化という観点から、SFAとDSR(デジタルセールスルーム)を明確に使い分けている。その考え方の核心は、こうだ。SFAは体重計であり、DSRはジムである。
「体重計」が果たすべき役割
体重計に求められるものは何か。毎朝、乗るだけで体重が分かる。それだけだ。体重計は、あなたがどんな運動をしたか、何を食べたかを記録しない。ただ結果を示す。
SFAも同じだ。営業活動の「結果」を定点観測する装置であるべきだ。
我々が管理しているデータ項目は、驚くほど少ない。ネクストアクション日、ネクストアクション内容、パイプラインのフェーズ、取引金額、クローズ日。これだけだ。これらは毎朝、歯磨きのように更新する。「今日はこの会社にこんなアクションをする」という一言を入れるだけ。
なぜこれだけでいいのか。なぜならば、これらは「意思を持って入力するもの」だからだ。自動化してはいけない。営業担当者が、自分の判断として「このフェーズだ」「この金額で提案する」「この日にクローズする」と決める。その意思決定の記録がSFAの本質だ。
住所や問い合わせフォームの内容、商談の文字起こしは自動で入る。それらはあくまで参考情報だ。Nice to haveだ。重要なのは、営業担当者の意思だ。
「ジム」で鍛えるべきもの
では、実際の営業活動、つまり提案内容の作り込みや顧客とのやり取りはどうするのか。それがDSR、我々のopenpageが担う領域だ。
ジムでは、体重を測るのではなく、実際にトレーニングをする。どんなメニューで、どんなフォームで、何回やるか。そのプロセスがすべてだ。
営業も同じだ。商談でどんな質問をするか、何をヒアリングするか、どの資料を見せるか、どんなネクストアクションを切るか。このプロセスこそが成果を決める。
我々が実践している「眼前可視化営業」(詳しくはこちら)は、まさにこの思想を体現している。商談中にopenpageを画面共有し、ヒアリング内容や提案の感想をその場で書き込む。顧客と同じ画面を見ながら対話する。商談後は議事録と関連資料を配布し、誰がどのコンテンツを見たかをPV数で確認する。
この「プロセスデータ」がDSRに蓄積される。商談の議事録、渡した資料、ステークホルダーの閲覧履歴、タスクの進捗状況。これらは自動で記録される部分と、手動で作り込む部分が混在する。重要なのは、顧客との対話の解像度を上げることだ。
両者を接続する思想
興味深いのは、この二つの使い分けが、営業マネジメントの質を根本的に変えるという点だ。
従来のSFAでは、「受注率が低い」という結果しか分からない。なぜ低いのか、どうすれば改善できるのかは見えない。
しかし、SFAで「この営業担当は高フェーズ企業への転換率が低い」と分かったら、次にopenpageを開く。その営業担当の提案内容を見る。顧客の閲覧PV数を見る。すると、提案の質が低い、顧客があまり見ていない、という具体的な問題が浮かび上がる。
つまり、SFAはマクロな診断ツールであり、DSRはミクロな改善ツールだ。体重計で「体重が増えている」と分かったら、ジムでのトレーニングメニューを見直す。この接続があって初めて、改善が回り始める。
我々の実践では、受注した案件は平均してopenpage上で25PV程度見られている。これは、顧客が複数回、複数人で提案を確認しているということだ。一方、失注案件はPVがほとんどついていない。つまり、PVは受注率のKPIになる。
この構造が見えると、営業マネジメントの解像度が一気に上がる。「もっと頑張れ」ではなく、「提案の構成を変えよう」「このコンテンツを追加しよう」という具体的な改善ができる。
「継続する仕組み」の設計
ここで重要な原則がある。入力が続かない仕組みは、設計が間違っている。
多くの企業が、「入力を徹底させよう」と号令をかける。しかし、それは無駄だ。人間は、意味を感じないことを継続できない。
我々がSFAの入力項目を極限まで絞り込んだのは、そのためだ。ネクストアクション日とネクストアクション内容だけなら、30秒で入力できる。毎朝の習慣にできる。
一方、openpageでの提案作成は、手間がかかる。しかし、これは「手間をかける価値がある」と営業担当が実感している。なぜなら、作り込んだ提案ほど顧客に見られ、商談が前に進むからだ。PVという形で、フィードバックが返ってくる。
つまり、SFAは「最低限の手間で体調管理」、DSRは「手間をかけて成果を出す」という役割分担だ。
あなたの営業管理は、何を測っているのか
最後に、問いたい。
あなたの会社のSFAは、何のために存在しているのか。営業担当者は、何のために情報を入力しているのか。それは「管理のため」なのか、それとも「営業活動を強くするため」なのか。
もし前者だとしたら、それは形骸化する。間違いなく。
営業管理ツールは、営業担当者を縛るものではない。営業活動の質を上げ、顧客との対話を深めるための道具だ。そのためには、体重計とジムを使い分ける必要がある。
結果を測る装置と、プロセスを鍛える装置。この二つが揃って初めて、営業組織は強くなる。
我々がopenpageで実現しようとしているのは、この構造だ。SFAという体重計で現状を把握し、DSRというジムで提案を鍛える。そして、両者を生成AIで接続し、マクロとミクロを行き来しながら改善する(動画で詳しく)。
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