顧客の成功を重視するセールスイネーブルメントとは?

  • 公開日:2024年12月24日(火)

こんにちは。今日は、セールスイネーブルメントにおいて、なぜ顧客の成功を重視することが重要なのかについて考えてみたいと思います。

セールスイネーブルメントにおける売上偏重の危険性

営業活動において、ともすれば売上目標の達成や数値管理に意識が偏りがちです。SFAやヨミ表などで目標数値管理を厳しくすればするほど、営業担当は自社の数値ばかりを見るようになり、目先の成果を追い求める状況に陥りやすくなります。

しかし、この姿勢には大きな危険が潜んでいます。顧客にとって、契約時点はあくまでも始まりに過ぎません。その後、実際に製品やサービスを活用し、期待した効果を得られるかどうかこそが本質的な関心事なのです。

セールスの本質は医者のような営業姿勢

これからの営業に求められるのは、医者のような姿勢です。つまり、顧客の悩みや課題を確実に理解し、適切な解決策を提示し、その実現をサポートしていく。そして、期待以上の価値を提供し、「この取引をして良かった」と顧客に満足してもらうことが大切です。

具体的には、以下のようなプロセスが重要になります。

  1. 【課題の正確な診断】 DSRや商談分析ツールを活用し、顧客の現状と課題を正確に理解する。
  2. 【適切な処方箋の提示】 診断結果に基づき、最適な解決策を提案する。効果や実現方法を分かりやすく説明する。
  3. 【実施後のフォローアップ】 提案した解決策が実際に効果を上げているか確認し、必要なフォローを行う。

顧客の成功(カスタマーサクセス)を定義する

顧客の成功を定義することは、営業活動において非常に重要です。一般的には、以下のような要素が成功の指標になります。

  • 期待する効果が実際に実現しているか
  • 提案した解決策が組織に適切に定着し、継続的に活用されているか
  • 当初想定していなかった付加価値や活用方法が見出されているか

営業担当者は、顧客との対話を通じて、これらの成功指標を常に意識し、その実現を支援していく必要があります。

組織としての顧客視点のセールスイネーブルメントの取り組み

顧客の成功を実現するためには、営業担当者個人の努力だけでは不十分です。組織全体としての取り組みが不可欠です。

例えば、営業活動で得られた情報を組織内で効果的に共有し、活用することが重要です。SFAやDSRなどのツールを用いて、顧客の状況や課題、提案内容、フォローアップ状況などを一元的に管理し、いつでも必要な情報にアクセスできる環境を整備することが求められます。

また、顧客の成功には、営業部門だけでなく、技術部門やサポート部門など、様々な部門の協力が必要です。組織横断的な支援体制を構築することで、顧客の満足度を高め、長期的な信頼関係を築くことができるでしょう。

セールスイネーブルメントにおける成功指標の見直し

顧客の成功を重視するということは、営業活動の評価指標も見直す必要があります。従来の商談件数や売上金額などの数値指標に加えて、顧客満足度や製品活用度、継続利用率などの指標も評価に加えることが有効です。

このような指標を組み合わせることで、売上などの結果だけでなく、顧客との関係性の質や提供価値の大きさといった、より本質的な営業活動の成果を多角的に評価することができます。

まとめ

セールスイネーブルメントにおいて、顧客の成功を重視することは、単なる理念ではありません。それは、持続的な事業成長を実現するための必須条件なのです。

デジタルツールを活用しながら、顧客の課題を正確に理解し、適切な解決策を提案し、その実現をサポートしていく。そして、顧客とともに成長していく関係を築いていく。このような取り組みこそが、真のセールスイネーブルメントの姿と言えるでしょう。

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第7章 顧客の成功を重視したセールスイネーブルメント

▼STORY - 守りから攻めの営業組織へ

「顧客との対話を重視するというのは理解できました。では、具体的にどのように営業活動を変えていけばいいのでしょうか。」鈴木部長の問いに、藤島はこう答えた。

「セールスイネーブルメントの考え方では、営業担当者は顧客の成功をサポートする伴走者としての役割を担います。製品を売るだけでなく、顧客の課題解決に向けて様々な価値を提供していくのです。」

「なるほど。つまり、提案力や課題解決力こそが、営業担当者に求められるスキルということですね。」

「はい。そのためには、従来の守りの営業から、攻めの営業へとシフトする必要があります。お客様の潜在的な課題を先回りして提案したり、ビジネスの成長に貢献したりする。そんな付加価値の高い営業活動を目指すのです。」

鈴木部長の目が輝いた。「営業担当者が顧客にとっての真のパートナーになる。そんな組織になれば、きっと当社の競争力は大きく高まるはずです。」

「その通りです。セールスイネーブルメントは、まさにそのような営業変革を後押しする取り組みなのです。守りから攻めへ。顧客志向の組織へと生まれ変わる。その第一歩を、ぜひ一緒に踏み出しましょう。」

二人の握手が、新たな営業の時代の幕開けを告げていた。

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セールスイネーブルメントで営業力を強化する際、ともすれば売上目標の達成や数値管理に意識が偏りがちです。しかし、真に重要なのは顧客の成功への貢献です。なぜなら、顧客は企業の売上がどうかではなく、自身が期待するリターンがこの取引で得られるかを最も重視しているからです。

◾️売上偏重の危険性

SFAやヨミ表などで目標数値管理を厳しくすればするほど、営業担当は自社の数値ばかりを見るようになります。「今四半期の目標達成のために」「ノルマを達成するために」と、目先の成果を追い求める状況に陥りやすくなります。

しかし、この姿勢には大きな危険が潜んでいます。顧客にとって、契約時点はあくまでも始まりに過ぎません。その後、実際に製品やサービスを活用し、期待した効果を得られるかどうかこそが本質的な関心事です。

◾️医者のような営業姿勢

これからの営業に求められるのは、医者のような姿勢です。つまり、顧客の悩みや課題を確実に理解し、適切な解決策を提示し、その実現をサポートしていく。そして、期待以上の価値を提供し、「この取引をして良かった」と満足してもらうことです。

【課題の正確な診断】

医者が患者の症状を丁寧に確認し、必要な検査を行うように、顧客の現状と課題を正確に理解することが重要です。表面的な症状だけでなく、その根本的な原因まで掘り下げて理解する必要があります。

DSRを活用することで、顧客との対話内容を整理し、課題の本質を明確化することができます。また、商談分析ツールで対話内容を振り返ることで、見落としていた重要なポイントを発見することもできます。

【適切な処方箋の提示】

診断結果に基づき、最適な解決策を提案します。この際重要なのは、なぜその解決策が適切なのか、どのような効果が期待できるのか、実現のためには何が必要なのかを、顧客が十分に理解できるように説明することです。

DSRでは、これらの情報を顧客が自社内で活用できる形で整理し、共有することができます。提案内容への反応を確認しながら、必要に応じて説明を補足したり、内容を調整したりすることで、より効果的な提案が可能になります。

【実施後のフォローアップ】

医者が処方後の経過を確認するように、提案した解決策が実際に効果を上げているか、確認とフォローが重要です。ここでのポイントは、単なる形式的な確認ではなく、顧客が真に期待する成果が得られているかを確認することです。

SFAやDSRを活用して、導入後の状況や効果を継続的に記録・確認することで、必要に応じて追加の支援や改善提案を行うことができます。このような丁寧なフォローアップが、長期的な信頼関係の構築につながります。

◾️顧客の成功を定義する

顧客の成功を定義することは、営業活動において非常に重要です。顧客によって成功の定義は異なりますが、一般的にはいくつかの共通要素があります。

まず、期待する効果が実際に実現しているかどうかです。顧客は製品やサービスを導入する際に、業務効率の向上やコスト削減、売上増加などの具体的な目標を持っていることが多いでしょう。それらの目標がどの程度達成されているかを確認することが、成功を測る上での重要な指標となります。

次に、提案した解決策が組織に適切に定着し、継続的に活用されているかどうかも重要です。いくら優れた製品やサービスを提供しても、それが現場レベルで受け入れられず、実際の業務改善につながっていなければ、真の意味での成功とは言えません。営業担当者は、導入後も顧客の組織に寄り添い、定着状況を確認していく必要があります。

さらに、当初想定していなかった付加価値や活用方法が見出されているかどうかも、大きな成功の指標となります。顧客自身が製品やサービスの新しい価値を発見し、自発的に活用の幅を広げていくことは、長期的な成功につながります。営業担当者は、顧客との対話を通じて、こうした新たな価値の発見を支援していくことが求められます。

◾️組織としての取り組み

顧客の成功を実現するためには、営業担当者個人の努力だけでは不十分であり、組織全体としての取り組みが不可欠です。

まず、営業活動で得られた情報を組織内で効果的に共有し、活用することが重要です。SFAやDSRなどのツールを用いて、顧客の状況や課題、提案内容、フォローアップ状況などを一元的に管理し、いつでも必要な情報にアクセスできる環境を整備します。これにより、営業担当者が変更になった場合でも、引き継ぎがスムーズに行われ、顧客に対して継続的で適切なサポートを提供することができます。

また、顧客の成功には、営業部門だけでなく、技術部門やサポート部門など、様々な部門の協力が必要です。製品やサービスの導入時には技術的なサポートが、運用段階では利用方法の相談や問題解決のサポートが求められます。こうした場面で、それぞれの部門が円滑に連携し、顧客の要望に迅速かつ的確に対応できる体制を整えることが重要です。組織横断的な支援体制を構築することで、顧客の満足度を高め、長期的な信頼関係を築くことができるでしょう。

さらに、顧客からのフィードバックを基に、製品やサービス自体の改善を継続的に行っていくことも欠かせません。営業担当者は、日々の顧客とのやり取りの中で、製品やサービスに対する要望や不満を直接聞くことができます。それらの声を組織全体で共有し、製品開発や品質管理に反映させていく仕組みを作ることが重要です。顧客の声に真摯に耳を傾け、それを自社の成長につなげていくことが、顧客の成功と自社の成功の両立につながります。

◾️成功指標の見直し

顧客の成功を重視するということは、営業活動の評価指標も見直す必要があります。

【従来の指標】

従来、営業の成果は主に以下のような数値指標で評価されることが多かったです。

  • 商談件数:営業担当者が行った商談の数。営業行動の量的状況を表す。
  • 成約率:商談を行った案件のうち、実際に成約に至った割合。営業活動の効率性を示す。
  • 売上金額:営業担当者が獲得した売上の総額。営業活動の最終的な成果を表す。
  • 目標達成率:あらかじめめ設定された売上や商談件数などの目標に対する達成度合い。

これらの指標は営業活動の結果を表すものとして重要ですが、一方で顧客の視点や長期的な関係性構築の観点が欠けているという課題があります。

【追加すべき指標】

顧客の成功により重点を置くためには、以下のような指標も評価に加えることが有効です。

  • 顧客満足度:提供した製品やサービス、サポートに対する顧客の満足度。顧客の感動が数値として表れる。
  • 製品活用度:顧客による製品の利用状況。提供価値が実際に顧客の業務に役立っているかを示す。
  • 継続利用率:一度購入した顧客がリピート注文や契約更新をする割合。信頼関係の強さを表す。
  • 追加提案の採用率:既存顧客に対する追加の提案が受け入れられる割合。顧客との関係深化度合いを示す。
  • 顧客からの紹介件数:顧客から他の見込み客を紹介してもらった件数。顧客のロイヤルティの高さを表す。

このような指標を組み合わせることで、売上などの結果だけでなく、顧客との関係性の質や提供価値の大きさといった、より本質的な営業活動の成果を多角的に評価することができます。

◾️本章のまとめ

セールスイネーブルメントにおいて、顧客の成功を重視することは、単なる理念ではありません。それは、持続的な事業成長を実現するための必須条件です。

デジタルツールを活用しながら、顧客の課題を正確に理解し、適切な解決策を提案し、その実現をサポートしていく。そして、顧客とともに成長していく関係を築いていく。このような取り組みこそが、真のセールスイネーブルメントの姿と言えるでしょう。

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