富士通のデジタルセールス戦略とその課題とは?openpage代表により徹底解説

  • 公開日:2025年1月6日(月)

はじめに

openpageの藤島です。今回は、富士通のデジタルセールスについて調べたことと、その感想や仮説、そしてopenpageが支援するならどのようなアプローチをとるかについて解説していきたいと思います。

富士通のデジタルセールスへの取り組み

富士通のデジタルセールス戦略①営業スタイルの変革

富士通は、伝統的な営業スタイルから脱却し、デジタルセールスへの移行を積極的に進めています。その一環として、インサイドセールスを中心とした営業モデルへの転換を図っています。これにより、営業担当者一人ひとりが担当する業務範囲を限定し、専門性を高めることで効率化を目指しているのです。

従来の営業スタイルでは、営業担当者が案件の開拓から契約締結まで、すべてを一人で担当するケースが多くありました。しかし、このような「先発完投型」の営業スタイルでは、個人の能力に依存しすぎてしまい、組織全体の効率化が図れないという課題がありました。そこで、富士通は営業プロセスを細分化し、それぞれの工程に特化したチームを設けることで、分業体制を確立したのです。

富士通のデジタルセールス戦略②デジタルツールの活用

また、富士通はFORCASなどのセールスデジタルツールを活用し、データドリブンな営業組織の構築にも力を入れています。これらのツールを効果的に用いることで、営業活動の可視化や、優先順位付けなどが可能となり、営業の質と効率の向上につなげています。

営業マーケティングの基盤には「Salesforce Marketing Cloud」と「Salesforce Sales Cloud」を導入し、リード管理から案件クローズまでを一気通貫で管理できる体制を整えました。これにより、営業プロセスの全体像を可視化し、ボトルネックの特定や、リソース配分の最適化などが可能になったのです。

富士通のデジタルセールス戦略③組織体制の強化

現在、富士通には100名規模のインサイドセールス組織があり、クラウド、デジタルマーケティング、ITインフラ、コンサルティングサービスなど、幅広い製品・サービスを販売しています。営業DX推進の中心人物である友廣啓爾氏の指揮のもと、「THE MODEL型」と呼ばれる分業体制を採用し、営業効率と生産性の向上を図っています。

友廣啓爾氏は富士通の営業DXの取り組みを著書「富士通式! 営業のデジタルシフト カルチャーを変え、売上の壁を超える方法」の中でも解説されています。

この体制では、営業プロセスを細分化し、それぞれの工程に特化したチームが担当します。例えば、リード開拓やアポイント獲得を担当するSDR(Sales Development Representative)、商談を担当するAE(Account Executive)など、役割ごとに専門チームを設置しているのです。これにより、各工程の専門性が高まり、全体の効率化につながっています。

富士通のデジタルセールス戦略④顧客接点の拡大

富士通は、ABM(アカウントベースドマーケティング)の手法も取り入れ、非対面型の営業活動で接点のなかった顧客層へのアプローチを実現しています。ABMとは、特定の重要顧客に対して、マーケティングと営業が協働でパーソナライズな施策を展開する手法です。

富士通では、情報システム部門を起点に、従来の強固な関係性を活かしつつ、アップセルやクロスセルも推進しているとのことです。つまり、既存顧客との関係性を軸に、より大きな案件の獲得や、他部門へのサービス拡販などを狙っているわけです。ABMの考え方を取り入れることで、よりターゲティングの精度が高まり、顧客との長期的な関係構築が可能になります。

富士通のデジタルセールス戦略⑤組織文化の醸成

富士通は、営業改革を進める中で、組織文化の醸成にも注力しています。部門間のサイロ化を解消し、協力し合う文化を育むことで、連携強化と目標達成を促進しているのです。

営業改革や新たな仕組みづくりに携わることで、社員のやりがいやモチベーションも高まっているそうです。部門間やチームでの協力を通じて成果を実感する場面が多く、チーム内で「勝ちパターン」を共有することで、営業力の底上げと個々のスキルアップを図っています。

こうした取り組みの背景には、富士通の経営層のコミットメントがあります。CRO(Chief Revenue Officer)直下の体制を敷き、営業・マーケティング・事業部門との連携を強化。グローバル展開にも力を入れ、デジタルセールス活動を海外にも広げ、統一的な戦略を展開しているとのことです。

富士通のデジタルセールスの課題仮説

富士通の営業変革は、非常に先進的で興味深い取り組みだと感じました。一方で、いくつかの課題や仮説も想定されます。

富士通のデジタルセールスの課題仮説①変革スピードと組織の適応力

まず、変革のスピードが速いがゆえに、現場の営業担当者との間で、業務の進め方にギャップが生じているのではないでしょうか。新しい営業スタイルや、デジタルツールの活用方法など、十分に浸透し切れていない部分もあるかもしれません。

特に、富士通のような大企業では、組織文化の変革に時間を要することが予想されます。営業部門だけでなく、他部門との連携も必要不可欠です。変革の過程では、各部門の業務プロセスや、評価指標の見直しなども求められるでしょう。

富士通のデジタルセールスの課題仮説②ソフトウェアビジネスにおける差別化

富士通は、ハードウェアビジネスから、ソフトウェアやサービスへの転換を図っています。しかし、ソフトウェアビジネスは、海外製品が市場の大半を占めているのが現状です。単にインサイドセールスのモデルを採用するだけでは、差別化が難しいと考えられます。

競合となるのは、アクセンチュアなどのITコンサルティング企業です。彼らは、単なる営業スタイルの変革だけでなく、コンサルタントの強化など、付加価値の高いサービスを武器に市場開拓を進めています。富士通も、営業だけでなく、コンサルティング力の強化など、ソフトウェアビジネスならではの差別化戦略が求められるでしょう。

富士通のデジタルセールスの課題仮説③レガシービジネスとの両立

富士通は、従来の汎用機やハードウェアの事業で、多くの顧客基盤を築いてきました。こうしたレガシービジネスにおいては、高単価の案件を、少数の営業担当者が長期的に担当するケースが多かったはずです。

デジタルセールスへの移行に伴い、営業スタイルが大きく変わることで、既存顧客との関係性が希薄になってしまう恐れがあります。レガシービジネスと、デジタルセールスをどう両立していくのか、綿密な顧客対応戦略が求められます。

また、社内の文化的な側面でも、「メーカー」から「サービス企業」へのマインドチェンジが必要です。営業だけでなく、社員一人ひとりが、顧客志向で考え、行動できる組織へと変革していく必要があるでしょう。

openpageが支援するなら

もしopenpageが富士通のデジタルセールスを支援するなら、いくつかのアプローチが考えられます。

openpageのデジタルセールス戦略支援①既存顧客とのコミュニケーション強化

まずは、既存顧客とのコミュニケーションに注力します。長年の取引関係で築いてきた信頼を基盤に、デジタルセールスでのさらなる関係強化を求めていく必要があります。

openpageであれば、営業DX支援ツールを活用し、顧客との接点を増やします。営業においてもデジタルチャネルを通じたコミュニケーションを強化し、顧客の課題や要望を適時キャッチアップできる体制を整備します。

具体的には、openpageのデジタルセールスルーム(DSR)を導入することで、営業担当者と顧客がオンライン上で目線を合わせながら、提案内容を共創していくことが可能になります。DSRは、単なる提案資料の共有にとどまらず、顧客の反応や意見を可視化し、より顧客目線での提案活動を実現できます。

openpageのデジタルセールス戦略支援②コンサルティング営業の強化

富士通のソフトウェアビジネスを成功に導くには、コンサルティング営業力の強化が不可欠です。openpageのセールスコンテンツマネジメント機能を活用し、営業担当者のスキル向上を支援します。

業界動向や、先進企業の事例など、営業に役立つコンテンツを集約し、デジタルコンテンツとして顧客に提供できる体制を整えます。これにより、一人ひとりのコンサルティング力を高め、付加価値の高い提案を可能にします。

また、営業担当者だけでなく、コンサルタントの知見もDSRに集約。営業とコンサルタントが一丸となって、顧客の課題解決に取り組める体制を整えます。

openpageのデジタルセールス戦略支援③海外ソフトウェア製品への販売付加価値の強化

富士通の取り扱うソフトウェア製品の多くは海外製であり、それ自体での差別化は難しい状況にあります。そこで重要になるのが、いかに自社の付加価値を盛り込むかです。

openpageでは、海外ソフトウェア製品を自社サービスと組み合わせて提供する、ハイブリッド型のビジネスモデルを提案します。製品の機能や価格だけでなく、導入支援やアフターフォローなど、富士通ならではの付加価値をプラスすることで、競合との差別化を図ります。

こうした付加価値の設計や、提案のストーリー化には、営業だけでなく、社内の様々な部門の知恵が必要です。DSRを使って、部門横断でのコラボレーションを促進し、より魅力的な提案の創出を目指します。

openpageのデジタルセールス戦略支援④経営層向けの営業強化

富士通がソフトウェアビジネスで成功するには、顧客の経営層を巻き込んだ営業活動が欠かせません。業務効率化やコスト削減といった、部門単位の提案だけでは不十分です。企業の経営課題に踏み込み、DXを支援するような提案が求められるのです。

openpageでは、そうした経営層向けの営業を強力に支援します。自社の持つデジタルシフトのノウハウを集約し、経営課題起点での提案活動を展開。営業担当者には、経営の視点を持ち、社内外のリソースを総動員して課題解決に導くスキルを身につけてもらいます。

具体的には、DSRを活用し、経営層とのコミュニケーションを緊密化。提案内容や、議論の経過をDSR上に可視化することで、営業メンバー全員が経営の意思を正しく理解し、スピーディーな提案活動を行えるようにします。

openpageのデジタルセールス戦略支援⑤開発職の営業コミュニケーション強化

富士通の強みの一つは、高い技術力を持った開発職の存在です。彼らの専門知識やスキルを、営業活動に活かすことで、他社には真似できない提案の実現が期待できます。

openpageでは、開発職と営業職のコミュニケーション強化を支援します。DSRを介して、技術情報や顧客要望をリアルタイムに共有。開発と営業が一体となって提案し、顧客課題の解決に取り組める体制を整えます。

また、開発職自身の提案スキルの向上にも注力。彼らが顧客とのコミュニケーションに参画し、技術の強みを直接伝えられるよう、営業スキルの研修なども支援します。

まとめ

富士通のデジタルセールスへの取り組みは、業界でも先進的な事例だと言えます。インサイドセールスの導入や、デジタルツールの活用など、営業の効率化と高度化を図る取り組みは着実に成果を上げつつあります。

一方で、変革スピードと組織の適応力や、ソフトウェアビジネスにおける差別化など、克服すべき課題も多いのが事実だと思われます。レガシービジネスとの両立や、組織文化の醸成など、中長期的な視点で取り組む必要があるでしょう。

富士通のような大企業がデジタルセールスへの変革を成し遂げるためには、営業部門だけでなく、マーケティングや事業部門など、社内の様々なステークホルダーが一丸となって取り組む必要があります。デジタルの力を活用し、顧客との信頼関係を築きながら、ビジネスを新たなステージへと導いていくことが求められているのです。

デジタルセールスへの取り組みは、もはや一部の企業だけの課題ではありません。業種や規模を問わず、多くの企業が直面している経営課題と言えるでしょう。openpageは、そうしたデジタルセールスの実現に向けて、様々なソリューションを提供しています。

営業DXやデジタルセールスにご興味をお持ちの方は、ぜひ以下の資料をダウンロードしてみてください。

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