IBM流セールスイネーブルメント:営業力を高める3つの秘訣 💼
IBM流のセールスイネーブルメントから学ぶべき営業力強化の秘訣について、元IBM社員の加藤真美さん(「おじきラー営業術」著者)の話をもとにまとめました。グローバル企業として70年以上も世界で勝ち続けるIBMの営業システムがどのように設計され、実行されているのかを掘り下げていきます。
徹底した営業研修システム 🎓
IBMの営業研修は、基本的に「人が入れ替わるのが前提」という外資系企業の考え方に基づいています。創業者のワトソンは「教育には飽和点がない」という言葉を残し、その精神は今も組織に生きています。
研修内容で特徴的なのは、ケーススタディを使ったロールプレイングです。これは実際の提案活動のように時間も設定され、明確なゴールがあります。中途入社者でも過去に営業経験があったとしても、全員が「IBM流」の営業手法を学び直します。
営業のコミュニケーションの進め方も体系化されており、「IBMコールモデル」というフレームワークが存在します。このモデルでは、商談の60分間の時間配分や、初めて会うお客様へのアプローチ方法まで細かく設計されています。
注目すべきは、IBMの営業研修が世界170カ国でほぼ同じ内容であること。同じ教育を受けることで、誰でも確実に同じクオリティのサービスを提供できる仕組みとなっています。多くの日本企業とは違い、営業のノウハウが完全に言語化されているのです。
アカウントプランニングセッションの威力 📝
IBMでは、「アカウントプラン」と「アカウントプランニングセッション」を明確に区別しています。前者は資料を作ること、後者はその資料をもとに皆でセッションを行うことです。
このセッションの特徴は:
- 四半期に最低1回必ず実施される
- 単なる報告会ではなく、全員でのコミュニケーションの場である
- 長期プランと短期プランを両方議論する
- 案件のPDCAサイクルを回す機会になっている
驚くべきは、この仕組みを40〜50年以上も日本で継続しているという事実です。多くの企業がアカウントプランを作成していても、本当の意味でのアカウントプランニングセッションを実施している企業は少ないとのこと。
IBMのアカウントプランニングセッションは非常に機密性が高く、「秘伝のタレ」のような存在です。これは単なる形式的な会議ではなく、「考えさせる仕組み」として機能しています。定期的に立ち止まって顧客のことや自社の提案状況を見直す時間を設けることで、営業の質を高め続けているのです。
営業ミーティングの戦略的設計 🗓️
IBMでは週次の「ウィークリーミーティング」を実施していますが、一般的な「いつ売れるの?いくら売れるの?」という報告中心の会議とは一線を画しています。既に決まった時期には売上が出るという前提で、「どうやって案件を進捗させるのか」という中身の議論に焦点を当てています。
特徴的なのは、かつてドイツ人社長が実施していた「クロージングセッション」です。土曜日に選ばれた案件の担当営業が社長と役員の前で英語でプレゼンし、必要なサポートをその場でリクエストするという徹底ぶり。日本企業では考えられないような経営層の案件への関与が見られます。
IBMの営業体系は、一般的な組織とは逆のピラミッド構造になっています。一番上が担当営業で、一番下が社長という発想です。これは「お客様に一番接している人がお客様のことを一番分かっている」という考え方に基づいており、その声を大切にして組織全体が動く仕組みになっています。
ミーティングは営業と営業部長、営業部長と事業部長、事業部長とグローバル事業部や日本の社長という具合に、各階層で実施されています。この結果、会社全体で大きなPDCAサイクルが回り、「会社というワンチームでビジネスをどう回していくか」が機能しているのです。
言語化された営業システムの力 💪
IBMの営業システムから学ぶべき最大の教訓は、営業活動の徹底した言語化と仕組み化です。「気合と根性」で売れる時代は終わり、ロジカルに前に進める方法を皆で話し合うことが重要になっています。
特に注目すべきは:
- 営業活動を明確に言語化することで誰でも同じクオリティを提供できる
- 定期的なアカウントプランニングセッションで考える習慣を作る
- 経営層が現場の営業に関わることで組織全体のアライメントを図る
このような仕組みを長年継続することで、IBMは世界中で一貫した営業力を維持しています。日本企業も営業の「気合注入」だけでなく、こうした仕組み化を検討する価値があるでしょう。
営業力を高めたい企業にとって、IBMのセールスイネーブルメントは大いに参考になります。単なる一時的な施策ではなく、数十年続く仕組みとしての営業システムを構築することが、持続的な競争力につながるのです。
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