SIer営業が知るべき議事録活用法|提案力向上の秘訣

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  • 公開日:2025年8月29日(金)

 

「また最終段階で負けた...技術的には完璧だったのに、なぜ?」

SIer営業やシステム営業の現場で、このような悔しい思いをした経験はありませんか?特に競合他社から「あちらの方が我々の状況をよく理解してくれている」という理由での敗北は、IT営業担当者にとって最も納得のいかない結果の一つでしょう。

実は、こうした受注の成否を分ける要因の多くが「議事録の取り方・活用方法」に起因しているのです。なぜSIer営業において議事録がこれほど重要な差別化要素になるのか、現場の実情を踏まえながら詳しく解説していきます。

SIer営業が直面する議事録の3つの悩み

SIer営業の現場では、議事録に関する悩みが日常的に発生しています。多くの営業担当者が共通して抱えている代表的な課題を3つ取り上げ、それぞれの具体的な状況を詳しく見ていきましょう。

提案書作成時の情報混乱

システム営業では、複数回の商談を経て提案書を作成する過程で「あれってどうだったっけ?」という状況が頻発します。特にアカウント営業として長期案件を担当している場合、過去のヒアリング内容が曖昧になってしまう経験は誰にでもあるでしょう。

SI案件では、複数の部署から異なる要件を聞き、システム構成も複雑で、「確かA部長はこう言っていたが、B課長の話と矛盾している気が...」という状況が日常的に発生します。結果として、提案書作成の段階で「あの話、結局どう決着したんでしたっけ?」という確認作業に追われ、場合によっては顧客から「それは前回お話ししたはずですが」と指摘を受ける事態にまで発展してしまいます。

チーム内の認識ズレ

IT営業チーム内で案件情報を共有しても、「聞いていた話と違う」「そんな条件あったっけ?」といった認識のズレが頻発します。特に上司への報告時や、SE(システムエンジニア)との連携時に、肝心な情報が抜け落ちていることが発覚し、顧客への対応に一貫性がなくなってしまいます。

ソリューション営業では、技術的な詳細と顧客のビジネス要件を正確に橋渡しする必要があるため、このような情報の欠落は致命的な問題につながります。

工数圧迫による営業活動の質低下

毎回の商談後、議事録の整理や情報の取りまとめに膨大な時間を費やしているにも関わらず、いざ提案書を作成する段階になると必要な情報が見つからない、または情報が散在していて全体像が見えない状況に陥ります。

本来であれば新規開拓や提案内容の作り込みに充てるべき時間が削られ、システム営業活動の質そのものが低下してしまいます。特に中堅SIerでは少数精鋭での対応を余儀なくされるため、この工数圧迫の影響がより深刻に現れています。

なぜSIer営業で議事録管理が破綻するのか

これらの悩みがなぜ発生してしまうのでしょうか。単なるスキル不足や個人の能力の問題ではありません。SIer営業特有の構造的な問題が根本的な原因となっています。

システム営業特有の複雑性

一般的な営業案件と異なり、SIer営業が扱う案件には以下のような複雑性があります。

既存システムの移行における情報収集困難

  • 既存ベンダからの設計書開示に難航し、調整に時間がかかる
  • 設計書の粒度が低く、運用担当者の属人的知識に依存
  • 長年運用されたレガシーシステムの全容把握が困難

契約・保守体系の入り組んだ構造

  • 複数ベンダにまたがる契約関係
  • バラバラの保守期間・更新タイミング
  • 段階的移行における責任範囲の曖昧さ

この複雑性をExcelのような静的な管理ツールで扱うことに、そもそも限界があるのです。

要件定義プロセスでの情報管理限界

SI営業における要件定義では、「誰が」「いつ」「何を」言ったかの時系列管理が困難になります。顧客内の部署間で要件が異なる場合の履歴追跡も、従来の方法では対応しきれません。

特に問題となるのは、商談の進行とともに要件や条件が変化することです。この変化を正確に追跡できないと、提案の根拠が曖昧になり、顧客からの信頼を失う原因となります。

アカウント営業における長期案件管理

多くのSIer営業担当者が陥る罠が、議事録を単なる「記録」として捉えていることです。しかし、IT営業が真に求められるのは、複雑に絡み合ったシステム構造や契約関係を顧客にとって理解しやすい形にシンプルに再定義し、共通認識を形成することです。

従来の議事録管理では、各営業担当者が個人のやり方で情報を整理するため、チーム内での情報共有時に文脈が欠落し、断片的な情報だけが伝播してしまいます。この結果、顧客への認識齟齬が発生し、信頼関係に亀裂が生じる致命的な状況を招いてしまうのです。

IT営業が実践すべき議事録活用法

課題の原因が明確になったところで、実際にどのような方法で議事録を活用していけば良いのでしょうか。成果を出しているSIer営業担当者が実際に行っている具体的な手法をご紹介します。

複雑性のシンプル化ツールとしての活用

優秀なSIer営業担当者は、議事録を「複雑性をシンプルに整理するツール」として活用しています。

顧客から得た断片的で複雑な情報を構造化し、次回商談で「前回お話しいただいた内容を整理すると、このような理解で合っていますでしょうか?」と確認します。この積み重ねにより、顧客との共通認識が段階的に深化し、最終的に「この営業担当者は我々のことを一番よく理解してくれている」という評価につながります。

つまり、議事録は「何が話されたか」を記録するツールではなく、「複雑な情報をどう整理・単純化するか」を考えるためのツールとして位置づけるべきなのです。

変化の可視化による信頼獲得

システム営業の案件では、商談の進行とともに要件や条件が変化することが常です。勝つIT営業は、この変化を時系列で追跡し、「当初は○○でしたが、××の検討により△△に変更になった」という経緯を明確に整理します。

要件の解像度を段階的に上げながら、同時に複雑性を整理・単純化していく仕組みを構築することで、提案の根拠が明確になり、顧客からの信頼を獲得できるのです。これこそが、ソリューション営業における真の差別化要素となります。

チーム営業での情報共有最適化

個人の記憶や断片的なメモではなく、文脈を含めた情報をチーム全体で共有することで、一貫した提案品質を維持します。

これにより、複雑な情報をシンプルに再構成して顧客との共通認識を作るという営業本来の付加価値創出業務に、チーム全体で集中することができるようになります。SEとの連携においても、技術要件とビジネス要件の橋渡しがスムーズになり、提案全体の整合性が向上します。

まとめ:議事録はSIer営業の戦略的武器

IT営業における議事録は、SI業界特有の複雑な契約・技術構造を整理し、営業本来の価値である「複雑性のシンプル化と共通認識形成」を実現する戦略的な武器です。

単に「何が話されたか」を記録するのではなく、「複雑な状況をいかにシンプルに整理し、顧客との共通認識を形成するか」という観点で議事録を活用できるかどうかが、最終的な受注の成否を分ける重要な要素となっています。

システム営業やSIer営業の現場では、技術力だけでなく、このような情報整理・共有力が競争優位の源泉となります。あなたの営業チームでは、議事録を戦略的に活用できているでしょうか?もし上記の悩みに心当たりがあるなら、議事録の位置づけと活用方法を根本的に見直す時期かもしれません。


この記事を書いた人

openpage 事業開発部長 北森雅雄(kitamori masao)

NTT東日本で14年間、自治体SE、新規事業開発、デジタルマーケティングを経験し、総額10億円の案件創出や年間ARR10億円規模の事業立ち上げを実現。2025年にopenpageに転職し、現在は事業開発部長として活躍。SIer営業の現場課題を深く理解し、営業DXによる生産性向上に取り組んでいる。

北森雅雄 masao kitamori

 

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