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カスタマーサクセスのROIはどう評価するべきか?測り方から改善への取り組みまで

  • 公開日:2022年4月23日(土)

今や多くの企業が導入するカスタマーサクセスですが、現実的に投資コストと利益のバランスまで意識できている企業は少ないのではないでしょうか。

カスタマーサクセスのROI(投資利益率)を評価することは事業上欠かせませんが、影響を与える範囲が広いため、単一指標での評価が難しく実態があいまいになりがちです。

では、カスタマーサクセスが正確にROIを測り、さらにそれを改善していくためにはどのような考え方をすれば良いのでしょうか。

カスタマーサクセスにおけるROIの測り方とは

カスタマーサクセスのROI、できる限り正確に測るためには一体どんな考え方をすればよいのでしょうか。

カスタマーサクセスのROIはシンプルな評価が難しい

カスタマーサクセスの活動は購買後を中心に顧客体験全体に関わり、以下のような多くの指標に影響を与えます。

  • 契約更新
  • アップセル・クロスセル
  • NPS(顧客推奨度)・顧客満足度
  • MRR・ARR
  • NRR(売上継続率)

ROIの評価のためには、これら全てを含んだ利益の計算が必要になるため、シンプルな数式では算出することが難しいのです。

LTVをベースに考える

では、複雑な計算をせずにカスタマーサクセスの利益を求める方法はないのでしょうか。上記のような各指標を内包する指標として、LTVが挙げられます。これをベースに考えてみましょう。

LTV=月間収益×利益率×購買期間※ (いずれも顧客あたり平均)

※ 購買期間=1÷チャーンレート

この数式は、顧客あたり平均のLTVを求めるものです。顧客満足度や契約更新はチャーン レート、アップセル・クロスセルたMRR・ARRは収益に結びついているため、ある程度活動全体を網羅する数値になっていることが分かります。

つまり、この数値の変化を観測することで、カスタマーサクセスの収益への貢献度をある程度正確に評価できるのです。

カスタマーサクセスのコスト

次に、カスタマーサクセスのコストについて考えてみましょう。既存顧客との契約を維持するために投下するコスト(CRC)は、大きく分けて「人件費」と「ツール」に分類できます。

人件費

  • カスタマーサクセスチーム
  • 契約更新/アカウントマネジメントチーム
  • ツール
  • CSツール
  • コンテンツ配信ツール
  • データ分析ツール
  • コミュニケーションツール

こうしたコストの合計と、先ほどのLTVの比率と変化を観測することによって、カスタマーサクセスのROIを評価します。

なお、CRCの目安として、ARR:CRC=10:1という数値が目安とされています。こちらもカスタマーサクセスのROI評価の参考になるでしょう。

ROI改善の考え方

カスタマーサクセスのROIを評価できたとして、それを改善するにはどうすれば良いのでしょうか。

ここまで解説した内容を踏まえて考えてみましょう。LTVを決定づけるのは、顧客単価(MRR・ARR)とチャーンレートです。加えて、人件費とツールからなるコストもROIを左右します。

つまり、顧客単価を上げ、チャーンレートを改善し、コストを最適化すること。これがカスタマーサクセスのROI改善に必要なことだと分かります。

カスタマーサクセスのROIを改善する6つの取り組み

カスタマーサクセスが顧客単価、チャーンレート、コストを通じてROIを改善するための具体的な取り組みを6つ紹介します。

コストの記録と再配分

単価やチャーンレートに比べて、コストの最適化は比較的効果の出やすい内容です。

人件費については、まずチームのメンバーがそれぞれどのクライアント/業務に時間を費やしているかを時間管理ツールなどを用いて細かく把握するのが第一歩。

配分のバランスが悪い場合には、配置やアサインの見直しを行って収益インパクトの大きな業務への転換を行いましょう。

同時に、ツールについても見直しを行います。コンテンツ配信、データ分析、コミュニケーションと目的別にいくつものツールを契約してしまいがちですが、他のツールと統合できそうなものはカットしましょう。

顧客状態の可視化

チームの内部に加えて、顧客状況の可視化もコストの面で有効です。ヘルススコアや活用率データ、NPSなどを用いて解約リスクの高い顧客と低い顧客を特定し、注力すべき顧客を見極めます。

重要な顧客にリソースを配分することで、効率化だけでなく支援の最適化にもつながるため、長い目で見れば顧客単価やチャーンレートにも効果があります。

顧客体験の整理

顧客単価とチャーンレートを改善するためには、サービスを通じた体験をより良いものにすることが欠かせません。

そのためには一連の顧客体験をカスタマージャーニーとして整理し、オンボーディング、アダプション、エクスパンション、契約更新やアップセル・クロスセルといった各フェーズにおいて必要な顧客の状態、支援、アクションを細かく定義する必要があります。

オンボーディングの充実

一連の顧客体験の中でも特に重要なのがオンボーディングです。オンボーディングがうまくいくかどうかは後の活用度やエンゲージメントを大きく左右し、当然顧客単価やチャーンレートにも影響を与えるため、まず改善に取り組むべき内容と言えます。

セミナー/ウェビナーを通じたトレーニングプログラム、マニュアルやチュートリアルコンテンツ(資料・動画・プロダクト機能)、修了のためのタスクリストや数値目標といった内容を充実させていきましょう。

テックタッチの導入

一連の支援の基盤が固まってきたら、一部をツールやシステムによって代替していくテックタッチの導入も考えましょう。

まずは人の手で行う必要のある分野とそうでない分野を分類します。MTGの実施やコミュニケーション、契約更新やアップセル・クロスセルの提案などは前者、トレーニングプログラムやコンテンツ配信、データ分析などは後者に当てはまります。

テックタッチの導入でセルフエデュケーションや人の手のかからない学習環境を作ることができれば、コストと収益どちらの面でも効果的です。

カスタマーサクセスツールの導入

ここまで紹介した5つの取り組みのうち、コストの最適化、顧客状態の可視化、オンボーディング、テックタッチの改善に効果が期待できる取り組みとして、CSツールの導入が挙げられます。

最新のCSツールは機能が幅広く、上記の内容の大部分を自動化・効率化できるため、カスタマーサクセスにとっては強力な武器になります。

ツールによって導入コストはさまざまなため、機能面と比較したうえで積極的に活用していきましょう。

カスタマーサクセスのツールはこちらの記事で解説しています。あわせてご一読ください。

【参考記事】いま導入すべきカスタマーサクセスツールとは?国内外20社から厳選!

 まとめ

カスタマーサクセスのROIは、その影響範囲の広さから正確に評価することが難しいもの。とはいえ、顧客数の増加、組織の拡大に合わせていずれは向き合わなければなりません。

シンプルな指標で評価することは難しいですが、LTVをベースにして考えることである程度正確に把握することができます。

また、顧客単価、チャーンレート、コストを改善していくことがROI改善への道であり、そのためにはコストの記録と再配分、顧客状態の可視化、オンボーディングを中心とした顧客体験の向上、テックタッチの導入などに取り組むと良いでしょう。CSツールによる自動化や効率化も効果的です。

Topics: カスタマーサクセス, 仕組み

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