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デジタルカスタマーサクセスでCSMの効率化と顧客体験の向上を両立させる

  • 公開日:2022年5月1日(日)

近年、BtoB型のSaaSビジネスでは、カスタマーサクセスの活動とそれによってもたらされる顧客体験双方をデジタルにするモデルが期待されています。

カスタマーサクセスをデジタル体験として提供できるようになるだけではなく、顧客の体験を一層パーソナライズできる「データ駆動型の」デジタルカスタマーサクセスが米国では実現されつつあります。

そこで本記事では、デジタルカスタマーサクセスとは何か、従来のカスタマーサクセスと何が異なるのかを解説した上で、デジタルカスタマーサクセスに関する誤解を取り除き、メリットを紐解いていきます。

デジタルカスタマーサクセスとはどのようなものか

多くの企業では、カスタマーサクセス活動のデジタル化は、マーケティングやセールス業務に対して遅れており、まだ初期段階にあるはずです。

ここで問題なのは、デジタルカスタマーサクセス化の進め方や成功事例以前に、「カスタマーサクセスのデジタル化」というコンセプトがカスタマーサクセス部門に十分な理解を得られていないことです。
デジタルカスタマーサクセスがどのようなものであるのかが理解されておらず、その重要性やメリット、進め方が分からない状況にあるのです。

本記事では、デジタルカスタマーサクセスを以下の様に定義します。

「デジタルカスタマーサクセスとは、①カスタマーサクセスをデジタル体験として提供すること。②それにより顧客の体験をよりパーソナライズにすること」

ここで重要なのは、デジタル化はカスタマーサクセス業務の効率化という側面だけではなく、顧客体験自体もデジタル化されること、つまり昨今でいうところのDXと同様に、カスタマーサクセス体験をデジタルで更に作り込むこと目的としているという点です。

また、定義の中にパーソナライズという言葉も入っていますが、これを手段にして人のみでなし得ないより高度な顧客体験を提供することを意味しています。

デジタルカスタマーサクセスは従来のカスタマーサクセスと何が違うのか

それでは、デジタルカスタマーサクセスは従来の人によるカスタマーサクセスとどのように異なるのでしょうか。

これまで、カスタマーサクセスの活動は、顧客の成功のためにカスタマーサクセス部門が顧客に伴走したり、プロアクティブに顧客の課題に先回りしたりすることで、ハイタッチ担当が主導で課題解決に導くものと考えられてきました。

しかし、デジタルカスタマーサクセスにおいては、その順序が逆になります。つまり、デジタル化された顧客体験ありきで、それに伴うカスタマーサクセスとしての顧客対応方法や組織のあり方を考え直す必要があります。

例えば、

・顧客と直接に1対1で接する機会を減らす代わりに、電子メールやウェビナー、動画、ナレッジベース、コミュニティなどのデジタルチャネルを活用して、1対多のアプローチによる大規模なコミュニケーションを行う

・ナレッジベースやコミュニティを中心に、カスタマーサクセス主導ではなく顧客のセルフサービスによりサクセス体験を機能させる

・顧客とカスタマーサクセス部門がデジタル体験をベースに話を進めることで、顧客自らが製品についてより多くを自律的に学んで利用をすることで望ましい結果を達成し、より早く価値を体験できるようにできる

等があげられます。

デジタルカスタマーサクセスに関する誤解

デジタルカスタマーサクセスはまだ新しいアプローチです。そのため、いくつかの誤解があるため、デジタルカスタマーサクセスを進めるうえでは混乱が生じることがあります。

そこで、デジタルカスタマーサクセスに対する主な誤解について一つ一つ解消しておきましょう。

誤解1:デジタルカスタマーサクセスは、売上の低い顧客に対して提供するものである

デジタルカスタマーサクセスは売上の低いアカウントのみが対象であるという考え方があります。しかしデジタルカスタマーサクセスはアカウントの規模や売上の高低を問わず取るべきアプローチです。

企業規模や売上にかかわらず、すべての顧客の環境は「デジタルに囲まれた社会」にいます。情報収集は人の話だけではなくニュースアプリで集めるなど、デジタルの接触には慣れ親しんでいます。
デジタル体験を強化することは、そのような顧客のアクティビティを考慮した自然な体験設計なのです。

顧客のフェーズにかかわらず、カスタマーサクセスの大きな体験設計のコンセプトとして、デジタルカスタマーサクセスをとらえるべきです。

誤解2:デジタルカスタマーサクセスはツールを導入すればすぐに実現できる

確かにデジタルカスタマーサクセスを導入することでカスタマーサクセス活動の自動化・効率化が可能です。しかし、カスタマーサクセスツールを導入すればすぐに効率化できるわけではありません。

まずは、顧客のセグメンテーション、カスタマージャーニー、タッチポイントの特定といった、顧客体験の可視化と望ましい体験の作り込みに十分に時間をかけるべきです。

それを効率化するためのプロセスとして、カスタマーサクセスのツール導入によるデジタル化を図るという手順で考える必要があります。

誤解3:デジタルカスタマーサクセスに移行すると顧客体験の質が落ちる

既にカスタマーサクセスチームが、担当できる許容量一杯にハイタッチのアカウント数を担当している場合、ビジネス成長により顧客規模が更に拡大し続けると、成長に見合ったカスタマーサクセス担当の新規増員が間に合わなくなります。

その結果、各カスタマーサクセス担当が受け持つ顧客が増え過ぎてしまい機能不全を起こし、本来ハイタッチであるべき顧客と十分にコミュニケーションが取れなくなってしまうことも考えられます。

デジタルカスタマーサクセスは、そこのような状況を推進するのではなく、逆にハイタッチで対応できる顧客を増やすために、デジタルをさらに有効に活用していくというコンセプトでもあります。

また、顧客は必ずしもハイタッチの支援を常に求めているわけではなく、セルフエデュケーションや自己解決も欲している顧客も存在します。openpageではセルフ学習のためのサイトを提供し、顧客の70%近くがそのコンテンツを読んで自立的に学習した事例がありました。

そのため、あくまで顧客の体験をより向上させるためのデジタル化であり、顧客自身の問題解決・意思決定を容易にするためのデジタルカスタマーサクセス という位置づけであることを忘れないようにしましょう。
顧客が自らできることを増やした結果として、顧客のエンゲージメントや体験の質を維持向上することにつながるのです。

誤解4:デジタルカスタマーサクセスには、専門人材が不可欠である

自社で新たな取り組みを始めるに当たっては、経験豊富な人材を新たに確保することが合理的といえるかもしれません。

しかし、前述のとおりデジタルカスタマーサクセスは、デジタルの前にまず望ましい顧客体験を考えることが重要です。効率的な運用体制を整えるよりも、徹底的な顧客理解や体験の磨き上げが先立つものです。

つまり、元々ハイタッチで顧客接点を持っていたCSMがデジタルカスタマーサクセスをリードすることも十分可能です。
それに加えて、コンテンツを作成するための編集者・デザイナー・デジタル担当など専門人材がサポートするという体制が理想的です。

誤解5:デジタル化が進むと人間味が感じられづらくなる

もし、ご自身がデジタルで自動化されたメールを受け取って人間味を感じられないと不満に思った経験があるのであれば、それはメールという媒介自体が悪いのではなく、セグメンテーションや内容に考慮が足りていなかっただけかもしれません。

デジタルで自動化されたコミュニケーションが、必ずしもすべて顧客にとって不快な体験になるとは限りません。Amazonのレコメンデーションを思い浮かべてください。
むしろ、適切なタイミングで気を配ったコミュニケーションが行われれば、デジタルによるコミュニケーションであっても、自分に対して話しかけられたような人間味のある体験も可能です。

自動化によりカスタマーサクセスのリソースを確保する

デジタルカスタマーサクセスの目標は、コストの削減と自動化により顧客との会話を減らすことではありません。デジタルの案内で業務削減することで確保できるカスタマーサクセス担当のリソースは、顧客のニーズや課題点を掘り下げてより深い会話や提案に時間を投じることを目指すべきです。

デジタルで自動化できることは積極的に自動化すべきです。それによって空いたリソースはより戦略的なハイタッチに投資することができるからです。

たしかに、デジタルカスタマーサクセスは純粋なハイタッチとは呼べないかもしれません。しかし、自動化によって生まれた時間を、顧客との有意義な会話のために活用できるようになり、ハイタッチの可能性を広げることができるのです。

まとめ

デジタルカスタマーサクセスは、カスタマーサクセス組織の拡大を支えるとても有効な方法です。正しく実践すれば、カスタマーサクセスチームの効率を高めながら顧客体験を向上させることができます。

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